マンションの騒音問題 騒音の受忍限度は?騒音トラブルの判例について

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こんにちは、こいちゃん(@happykoichan)です。

つい先日、私が管理しているマンションのある会合で、出席していた方が上階の騒音に悩まされているとの話になりました。

そのマンションでは昨年、別の方から騒音の苦情があり、全戸に生活音についての配慮のお願い文書の配布と掲示を2回しています。

しかし、今年に入ってからも改善されず、また別の方からの苦情もあり、再度、文書の配付と掲示を行ったところ、その文書を見て今回の会合でご意見を出されました。

ちなみに該当住戸(音を出している側)の方は賃借人です。

こういう書き方をすると語弊があるかもしれませんが、所有者であるオーナーと賃借人を比べると、どうしてもご自身の所有物ではなく、永住するわけではないためか、賃借人はオーナーよりも配慮が薄い気がします。

賃借人の方が全員そういうわけではなく、立派な方もたくさんいらっしゃいます。しかし、私の経験上、トラブルの割合はやはり賃借人の方が多いですね。

このため今後、騒音トラブルについて理事会で対処方法を検討することとしました。

 

騒音については基本的に個人間でのトラブルでありますから、私たち管理会社が間に入ることは非常に難しいデリケートな問題です。

だからといって放置するわけにはいきません。今後の対策方法などいろいろと助言しないといけないですね。

 

そこで先日、管理業務主任者講習の際に頂いた「マンション管理に係る紛争事例集」に騒音の判例が載っていたことを思い出し、改めて目を通してみました。

先日の管理業務主任者講習の記事はこちら👇

面白いマンション紛争事例もご紹介しています。

その「マンション管理に係る紛争事例集」には【マンションにおける騒音の受忍限度】という判例が記載されており、ざっくり言うと、上階の騒音に悩まされて、階下の被害者が損害賠償請求をした判例が記載されていました。

以下、詳細です。

マンションにおける騒音の受忍限度

-東京地方裁判所 平成19年10月3日判決ー

(1)事件の概要

Xは、上階に引っ越してきた賃借人Y(妻と3~4歳の長男の3人家族)に対し、子供が廊下を走ったり飛んだり跳ねたりする音(本件音)が受忍限度を超えているとして240万円の損害賠償を請求した。

(2)問題点

①本件音が社会生活上Xが受忍すべき限度を超えているか

(3)裁判所の判断

受忍限度を超えているとして36万円の支払いを命じた。

①について

本件音のようなマンションの階上からの生活音については、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」136条は適用にはならない。

本件音はYの長男が廊下を走ったり跳んだり跳ねたりする音である。本件マンションの2階の床の構造によれば重量床衝撃音遮音性能はLH-60程度で日本建築学会の建築物の遮音性能基準によれば、集合住宅の3級、すなわちやや落ちる水準である上、本件マンションにファミリー向けで、子供が居住することも予定している。しかし、ほぼ毎日本件音がX住戸に及び、その程度は、かなり大きく聞こえるレベルである50~60dB程度のものが多く、夜7時以降、時には深夜にも及ぶことがしばしばある等したのであるから、Yは長男をしつける等住まい方を工夫し、誠意ある対応を行うのが当然であった。それにも拘わらず、Yは、床にマットを敷いたものの、それ以外にどのような対策をとったのかも明らかではなく、Xに対しては文句があるなら建物に言ってくれと乱暴な口調で突っぱねたり、Xの申し入れを取り合おうとせず、その対応は極めて不誠実であった。

そのため、Xはやむなく騒音計を購入して本件音を測定するほかなくなり、精神的にも悩み、Xの妻は咽喉頭異常感等の症状も生じた。

以上の諸点、特にYの住まい方や対応の不誠実さを考慮すると、本件音はXが受忍すべき限度を超えており慰謝料は30万円が相当である。その他、Xが本件訴訟を提起せざるを得なくなったこと、等を考慮すると弁護士費用としてYに賠償を求める額は6万円が相当である。

出典/マンション管理に係る紛争事例集

 

 

うーん、勝訴といっていいのでしょうかね。もう少し慰謝料の金額が多くないと、割に合わない気もしますが・・・

この判例から読み取ることができる点として、

・誠実な対応(Xに対し丁寧な口調で対応をして、子供にもしつけをしている)をしていてなお、音が発生していた場合、慰謝料が認められるのか。また、認められたとして割合は?

・訴訟を提起する際に被害の音を立証するために騒音計を用意しなければならない。

騒音計の価格を調べたところ、2千円~1万円程度、高いもので3万円くらいです。

上記2点を考えると、仮に訴訟して勝訴しても被害者側に納得のいく勝ち方にはならないと思いますね。

 

上記のケースは個人間で訴訟という最終手段になったわけですが、訴訟ではない違う解決方法を見つけなければなりませんね。

 

 

ではまた。

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