マンション管理組合の理事会役員の方や、管理会社の方は、理事会の議事録の作成について悩まされている方も多いと思います。
特に議案内容が多いときや、会議が長時間になったときなどは、議事録の作成にウンザリされる方も多いのではないでしょうか。
今回は、議事録の作成について、私なりの議事録の考え方や作成方法について解説します。
まずは標準管理規約(マンションのルールブックの標準)の議事録の定義についてですが、以下のとおりとなります。
標準管理規約(議事録の作成、保管等)
第49条
総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。
2 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。
3 理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
4 理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。
標準管理規約では、このような記載があります。
議事の経過の要領及びその結果
議事内容の経過の要領と結果を記載しましょうということですね。
これを踏まえて議事録を作成します。
それでは順番に行きましょう
議事録作成方法
テンプレート
議事録は理事会が作成している組合と、管理会社の担当者が素案を作成しているケースがあると思いますが、どちらの場合も今までのテンプレートがあると思います。
一般的なテンプレート
1.タイトル(第○期 第○回理事会議事録など)
2.日時
3.出欠状況
4.審議事項
5.議事録署名欄
恐らくはこのような議事録の作成と思われますが、ここで一番手間を取られるのが
4.審議事項
と思われます。
この審議事項について、私なりの作成方法をお伝えします。
審議事項の記載方法(例)
審議事項についての作成方法は3段階に分けて作成します。
(1)議案内容のタイトル
(2)審議事項の解説と主な意見
(3)結果
たとえば以下のようなレジメに沿った会議が行われたとしましょう。
第3回理事会 |
1)騒音問題について |
2)不具合改修について |
3)保守点検報告 |
4)会計報告 |
5)その他 |
1)2)については以下のように記載します。
1)騒音問題について
【解説】以前より騒音の苦情が寄せられている件について審議した。
【意見】出席役員からの主な意見は次のとおり
掲示や注意喚起の案内を配布しているが効果はあるのか。
騒音状況について現状を把握するため、全戸にアンケートを実施したらどうか。など
【結果】審議の結果、以下のとおり決定した。
①引き続き、掲示や案内を実施し、注意喚起を行う。
②全戸に騒音状況のアンケートを実施することとし、アンケート案の作成を管理会社に依頼した。
2)不具合改修について
【解説】○月○日に地下駐車場○○箇所から漏水が発生した件について、管理会社から次のとおり報告と改修見積りの提出があった。
漏水原因は○○水脈の湧水が原因と考えられる。完全に塞ぐには湧水の逃げ道を作らなければ難しい。なお、漏水箇所の完全な特定と逃げ道を作る工事については相応の費用が発生するため、今回は被害箇所の改修提案である。
○○㈱/○○円(税込)
××㈱/○○円(税込)
【意見】出席役員からの主な意見は次のとおり。
完全に治すにはどのくらいの費用がかかるのか。
(管理会社)見積りを取得しないと断定できない。
現在はどのような対処をしているのか。
(管理会社)少量の漏水のため、経過観察中であるが、このまま放置すると被害が広がる可能性がある。また、今回の改修内容は当該箇所の補修であり、漏水箇所の原因特定がされているわけではないため、一時的なものに過ぎない。
【結果】審議の結果、以下のとおり決定した。
漏水原因の特定と湧水を逃がす工事の見積りを管理会社に依頼した。
3)保守点検報告
3)については報告結果の記載をして、まとめを記載するだけです。
例)
○月○日 給水設備点検 異常なし
○月○日 エレベーター点検 異常なし
○月○日 機械式駐車場点検 パレットに錆あり、経過観察
上記報告内容を確認した。
この様な記載方法をしています。点検内容で不具合報告があれば以下のように記載します。
○月○日 消防設備点検 ○号室感知器不良
不具合箇所について現在補修見積り依頼中。入手後、提案予定との説明があった。
もしくは、感知器不良について次のとおり改修見積りの提出があった。
○号室感知器取替/○○㈱/○○円(税込)
【結果】審議の結果、上記○○㈱に感知器取替を発注した。
4)会計報告
4)についても3)と同様です。
管理会社から○月末までの会計報告の説明と資料提出があり、内容を確認した。
これだけ。
ただし、イレギュラーな報告内容や意見などがあった場合、その報告内容や意見について記載します。
例)
管理会社から○月末までの会計報告について資料提出と以下の説明があった。
【解説】雑収入○○円については、○○からの入金を計上。
修繕費○○円については、○○工事の支出を計上。
【意見】出席役員からの主な意見は次のとおり。
○○の支出はどのような内容か。
(管理会社)○○は○○の理事会で承認を得た工事の支出である。
【結果】上記報告と○月末までの会計報告内容を確認した。
5)は理事会資料では議案として取り上げていないもので、会議の中で重要と思われる意見があったときに記載します。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
基本的に①タイトル、②解説と主な意見、③結果の3つに分けて作成すると思いのほか簡単に作成できます。また、作成のポイントとしては、『~と考える。』『~を確認した。』などを効果的に使うと、作成と文面を簡略化できます。
管理組合によっては審議事項と結果のみの議事録を作成されていることもあります。その組合の特性に合わせることも重要ですね。
ではまた。

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